Layback
簡単なのに難しい。滑り手の真価が問われるシンプル&ディープな超普遍的アクション
世の中にスノーボーディングに関する情報が皆無だった80年代、サーフィンとスケートボードがスノーボーダーのテキストだった。だからオレたちにとって、リッピングは滑るという行為の中に最初から組み込まれていたものだし、このサーフ&スケートが創り出したスタイルを越えるモノがスノーボーディングから生まれることは今後も無いとオレは思っているんだ。
レイバックなんて簡単だよ。そっくり反って後に手をつくだけだからね。板の動きはこうだよ※下図。このトリックで一番大切なのはすべてのアクションがターンの弧の中で行われてるということ。つまりレイバックとは3D地形でのターンの一種で、リップでパワースライドをしている訳ではないんだよ。以下に何となくの手順を書いておくから参考にしてね。
●ターン前半、上体を残したまま板だけをカーヴさせていく。つまり上半身は目線も含めリップ方向、板はまだターンの弧のレールに従っていて、この瞬間からから身体がねじれ始める。
●ターンのピークで板を激しくスライドさせグラインド(もしくはスラッシュ)!上半身&目線はまだリップ方向で板はターンの弧に対して垂直方向。身体のねじれもピークに。
●ターンの弧の終点に目線を戻し抜重すると、自動的に板と身体の向きが弧のレール方向に戻って、トリック終了。レイバックのことなど忘れ、次のヒットを探すために直ちにキョロキョロし始める。
レイバックのカタチになろうとしてバンクに突っ込むのではなく、まずはそのバンクを使ってスムースな3Dターンをメイクする気持ちでトライ。で、ターン中に余裕があればカタチをつくってみればいい。ちゃんと飛べないのにグラブしようとしてもうまく行かないのと同じだよ。もし気持ちよくレイバックが決まったからって減速するまで引っ張ってはだめだよ。この後もボトムまで続くラインのために、スピードはしっかりキープしておかなくちゃね。
レイバックはシンプルなトリックだから、いろんなスタイルで自分らしさを表現できるよね。写真はベニヤウォールを使って、ランページでのスケートボードを意識したスタイル。コーピング(は付いていないけど)に架空のトラックをガッチリかけてグラインドしている。ハーフパイプでもナチュラルヒットでもスケートボード的レイバックをする時は架空のコーピングに架空のトラックをかけているんだよ。リップとボードが点と点の関係になるイメージかな。ちなみにサーフ的レイバックの場合はリップとボードが面と面の関係になるんだけど、詳しくは次の機会にね。
Text&Ride 田口勝朗
グリーンクロージング、ヤオヨシレコーズを扱う八百由のボス。写真は彼が主催したパーティー“SUMMIT 2005”で夜11時頃に撮影されたモノ。参加者ほったらかしで誰よりも滑り倒すダメな主催者だったという噂を裏付ける貴重な一枚である。
Rider Katsuro Taguchi Photo Yoshiro Higai
(雑誌Snow Style掲載/2008年)